気象予報士とは

気象予報士

気象予報士とは1993年に気象業務法が改正されて、それまで気象庁の仕事とされてきた天気予報が、気象庁以外の人でもできる道が開けました。だからと言って、お天気好きなら誰でもできる!というのでは、間違った予報が平気で出回って、人々を混乱させる可能性があります。天気予報は、ときに命に関わる防災情報ですから、社会生活に混乱をきたすようなことがあっては困ります。そこで、1994年8月から始まったのが、気象予報士試験という国家試験です。

気象を予測する者は「最低限の気象学の知識を持ち」、また気象庁から提供される「数値予報資料などの高度な予測データを適切に利用できる」能力が必要です。そして、その能力をもって防災上危険と判断される事項を、事前に適切に捉えられるか?そういったことが問われます。気象予報士は、これらの能力を持ち合わせた人だけに与えられる資格であり、気象予報士試験はそれを見極めるための試験ということです。

 

気象予報士の仕事

テレビやラジオなどで、キャスターがお天気を伝えていますが、気象予報士の仕事はそれだけではありません。というか、伝えるだけなら資格は要りません。必要なのは、ウラで天気予報を作成している人たちです。メディアに関わる気象予報士さんもいれば、メディアとは関係なく企業や自治体、交通機関、道路、船舶などに向けて個別に情報を提供する仕事もあります。

メディアの仕事

不特定多数の人が目にしたり耳にしたりする天気予報で、広く把握する必要があります。予報を作成して、なおかつそれをメディア向けの原稿にして、伝えなければなりません。出演する人は、話し方や情報の伝え方、表情の作り方など細部まで気を使わなければなりません。

予測の仕事

予測の仕事提供する情報はお客さんのニーズによって異なります。企業や自治体に向けて天気予報や気温予報、風予報を提供したり、交通機関や道路には、降水量・降雪量などの予測を提供します。ごく限られた、狭い範囲の地域特性を把握しなければなりませんし、お客さんごとに決められたしきい値に合わせての、コンサルティングが必要です。例えば、ある会社では降水量が1時間に5ミリ以上になりそうだったら、対策をとらなければならない一方で、同じ地域にある別の会社では1時間5ミリ程度の雨なら何でもない!という状況があれば、提供する情報の降水量は同じであってもコンサルティングの内容が変わってくるわけです。オモシロイ現場です。

しかし、気象予報士はあくまでも資格の一つですから、資格をとって予報の現場にいる人ばかりではありません。天気を予報する仕事ではなくても、今、まさに携わっている業務に生かす人もたくさんいらっしゃいます。アパレル業界に従事する人は、製造や仕入れに「季節予報」の知識を導入することができます。また、農薬の会社で直接農家さんと接することの多い営業に携わる人は、台風情報などについて、テレビでは把握しきれない詳細な情報をお知らせすることができます。気象予報士の資格の生かし方は様々です。

 

気象予報士試験

気象予報士試験は1年に2回、1月の最後の日曜日と8月の最後の日曜日に行われます。毎回4000?5000人の方が受験し、合格率は平均で56%です。難しい試験ではありますが、誰でも何度でも挑戦できる国家試験です。

  • 受験資格 特になし
  • 試験会場 北海道・宮城・東京・大阪・福岡・沖縄
  • 試験手数料 11400円(全科目を受験する方) ※学科試験の一部、または全部が免除されている方は料金が異なります。気象業務支援センターHPでご確認ください。
  • 試験の概要 学科試験(一般知識・専門知識)、実技試験があります。

       午前:学科試験(一般知識[60分]・専門知識[60分])

       午後:実技試験(実技1[75分]・実技2[75分])

<学科試験>

予報業務に関する一般知識(気象学の基礎・気候変動・気象業務法など)と、予報業務に関する専門知識(観測・数値予報・気象災害など)を、問われる多肢選択式でマークシートでの回答です。

<実技試験>

実際に発生した大雨や大雪、台風などの事例を気圧配置型から2つ出題。天気図の解析、発生した現象の原因、考えうる局地的な気象予報、気象災害などトータルで気象予報に対する知識が問われます。記述式での回答です。