衛星画像はちょいちょい見てみよう。
衛星画像は、可視画像、赤外画像、水蒸気画像と、大きく分けると3つありますね。それぞれ、写り方が異なりますし、観測目的もちょっと違います。台風3号マーワーくんの一生、発生直後、発達、衰退、温低下、温帯低気圧で再発達の過程を画像にしました。
台風の全盛期は、台風の眼が開いたり閉じたりしているのが分かりますか?沖縄の南東海上あたりまでは、速度は自転車並みでした。ところが、本州の南海上は、すーっと通過していきました。台風は、一般風に流されるのが基本です。(500hPaの流れを参照)中緯度帯まで上がってくれば、偏西風にのって速度が速まるわけです。やがて台風が関東の南海上を通過していくころになると、どうも構造がすでにかわってきている様子。
台風の全盛期は、眼を中心に背の高い発達した壁雲がグルグルしています。しかし、関東の東海上を北東進し始めるころから、雲域の様子が全盛期の台風とは全く異なる雲になります。実際の雲画像を見た方が分かりやすいですね。
東海上を足早に北東進している間に、劇的に変わりました。北の寒気が中心の南側に回り込んでいます。これはまさに暖気と寒気が隣り合う、有効位置エネルギーが運動エネルギーに変換される仕組みで発達する「温帯低気圧」です。また、温帯低気圧に伴う雲域と、台風に伴う雲域は、両方ともしっかり赤外画像、可視画像と合わせて覚えておきましょう。
<6月7日12時 左:赤外画像 右:可視画像>
左が赤外画像、右が可視画像です。もと台風3号の雲域は、さきほどの動画を見れば分かると思います。赤外画像では南半分が暗く写っていますが、可視画像では低気圧に伴う雲域がぐるぐる渦を巻いている感じが分かると思います。しかし、可視画像だけ見ると、台風と何がちがうのだ?という感じがしてしまいます。そこで赤外画像です。赤外画像では、低気圧に伴う雲域の南東側が明らかに暗く映し出されており、台風の全盛期とは明らかに異なるということです(雲頂高度が違いますね。赤外画像では、輝度温度が高い領域は暗く写しだします)。このように、気象衛星画像は、単独で使用するのではなく、組み合わせて見ることも大事なのです。
2012年6月8日
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