大気の状態が不安定

雷は怖いですけど,キライではありません.むしろ,ちょっとテンション上がります.そんな私に朗報.27日,28日は西日本から東日本にかけて大気の状態が不安定,だっていうから天気図を見てみたよ.しかし,大気の状態が不安定っていうのはどういうことか?立ち止まってもう一度考えてみます.よく耳にするのは「上空(500hPa)の気温と地上付近の気温の差が△△℃もあるから,雷雨に注意」,一見おかしいところは無いようだけど,どうも温度差だけで不安定現象が起こってるような感じがしますぞ.そもそも,大気の状態が不安定って空気塊が上昇しやすい大気かどうか?っていう場の状態を言ってるんであって,空気塊が上昇して,さらに積乱雲がぐんぐん発達するかどうかは,別のいろいろな条件について検討しないと分からないところです.

IMG_590828日12時頃の東京くんだりの状態曲線

GPVを頼りに28日の日中の東京あたりの状態曲線を描いて,例の850hPaの空気塊を500hPaまでムリくり上昇させた時に空気塊の温度と周りの気温の差は何度かな~で表すSSIを調べてみると+3℃ぐらい.うーん,手放しに「わーいわーい安定度が悪いぞ!」と喜べるほどではないようです.それでも,ガイダンスなんかで明日の午後の発雷確率がまあまあ高いのは,この微妙の大気の中を,空気塊が頑張って上昇できるように他の要素も盛り上げてくれているということです.発雷確率は決して温度差だけでスルっと出てくるものじゃないし,SSIひとつとっても温度差だけじゃなく空気の湿りも考慮してますしね.

<じゃあ,どんな曲者がくるのか>

MSM_16_0328_0900上空 MSM_16_0328_1500上空 MSM_16_0328_2100上空

左上:28日9時 右上:28日15時 左下:28日21時 500hPa風・気温・渦度(MSM)

MSM_16_0328_0900 MSM_16_0328_1500

左:28日9時 右:28日15時 地上気圧・風・降水量(MSM)

寒冷渦がぐるりと南下してくるということであります.ちょっと見にくいかも知れませんが,強い風を表す旗矢羽は渦度0線に沿って主に南の海上を通る南西風となっています.これより前面の,関東地方なら伊豆諸島あたりは寒冷渦の南東象限で,不安定現象は必至だということが分かります.ではてんコロ.オフィス周辺を含む,本州上の関東地方あたりはどうか…28日は寒冷渦の内側に位置するようになって,上空の風も弱くなってしまいます.こうなったら,下層の暖湿気の流入やしっかりした上昇と上空の大きな正渦度を頼りにするしかありません.あー,でも正渦度の極大値も南を通っていくなあ.

MSM_16_0328_1200 MSM_16_0328_1500 MSM_16_0328_1800 MSM_16_0328_2100

左上:28日12時 右上:28日15時 左下:28日18時 右下:28日21時 925hPa風・相当温位(MSM)

500hPaの高度・渦度予想図(一番上の図)では,21時あたりにMSMによると,平野部に目立ったシアはなく,するーっと山にぶつかる感じ.伊豆半島のあたりには明瞭なシア,というか低気圧性の循環があります.これらのところは積乱雲の発達はありそうですね.うちは無いみたいだなー.

2016年3月27日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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