北海道の大雨
北海道で今朝、大雨の特別警報が出ましたね。今も継続中ですが。どんな状況なのか、見てみます。
<大きく見ると>
(925hPa相当温位・流線・11日6時MSM初期時刻) (地上気圧、流線・11日6時MSM初期時刻)
↑予想図で見ると、昨夜から今朝にかけて、北海道付近には寒冷渦の周りをぐるぐる回る正渦度が、ぐっと一段強い寒気とともに通過する場でした。その前方にあたる下層(925hPa)では、周りよりも相当温位の高い空気が、ちょうど三陸沖、日高沖を通り、南南東の風で胆振~空知地方に流れ込む形になっていました。地上気圧と流線で見ると、日本海北部にある低気圧に向かう風が、ちょうど日高沖に集中して、周りよりも強い風になっていることが分かります。(流線の緑色、赤色は、10m/s以上の風)。予想でも、このような南~南東風がしばらく続くということになっていました。
(今朝10時までの、前12時間積算降水量) (21時イニシャルのMSM12時間積算降水量)
↑今朝10時までの、前12時間の積算降水量の分布で見ると、この辺りはちょうど地形的には谷間になっている所で、そこで降水量が多くなっている様子から、上で見てきた状況の通り、大量の水蒸気が集中して流れ込んで、降水量が多くなったのかと思われます。でも、これはあくまでも、大きく見た場合です。21時イニシャルのMSMでも、この付近で雨が多くなることは、予想できていました。降水量としては、全然足りませんが。では、もう少し小さく見てみます。
<小さく見ると>
午前3時からのレーダー、アメダス風、それから解析された流線を示してあります。胆振、日高、空知あたり、強めのエコーがかかっている所を中心に見てみると、5時ぐらいまでは、概ね予想通りの南~南東風で、風も強いですね。しかし、それ以降は、予想と真逆の風が吹いてみたり、風がぐちゃぐちゃです。流線で見ると、へんな収束ができてしまっています。予想と風が違う、だから予想されている降水域が実況と違う、これは予想を困難にさせる一つの原因です。常に、実況と見比べて、予想と何がズレているのか?そういったことを把握して、すばやく予測を修正していく必要があります。
今日のラジオっぽいTV!で取り上げたのは広島の大雨の資料ですが、変な風が吹く…実況と予想のズレという意味では、同様に考えなければならないところです。
<てんコロ.のラジオっぽいTV!371(広島の大雨の発生要因の資料を見てみる)>