未明頃,関東南部は強い雨が降りました
東京と神奈川の県境に位置している,二子玉川駅から徒歩25分のてんコロ.オフィス周辺では,未明頃に強い雨が降りました.世田谷のアメダスでは時間19.5ミリ,そのほか東京・神奈川で時間20ミリ前後の雨が降ったのですが,このあたりの実況を振り返りつつ,昨日の夜9時イニシャルの天気図を見ていきます.
<実況>
中国東北区には500hPa,-30℃以下の寒気を伴う寒冷渦があって,寒冷渦の周りを回る5460m付近の強風軸上のトラフが朝鮮半島付近にさしかかっています.このトラフの前面の5460mの等高度線上には+247の正渦度極大値があって,水蒸気画像では渦が明瞭です.閉塞過程に入っている日本海の低気圧は,この正渦の直下に位置するものです.また,5640~5700mにある強風軸上のトラフが四国沖から東海道沖にかけて北東進中で,対応する低気圧が南岸を東北東進しています.この低気圧の南から低気圧中心の前面にかけて,850hPaでは40ノットの南~南西風の強い暖気移流があり(12℃線付近が前線に対応),紀伊半島から愛知県付近には700hPaの上昇流の極値も解析されています.また,925hPa・321~324Kの高相当温位の空気が40ノット以上の強風で紀伊半島から東海地方に突っ込み,静岡県では時間50ミリ以上(静岡では時間63ミリで3月1位の値を更新)の非常に激しい雨となったところがありました.
南岸を東北東進した低気圧は,未明から明け方頃にかけて関東南岸を東北東進し,朝には房総半島に達しました.その道中,高相当温位の空気が強く流れ込み,特に関東南部では地上風のシアが明瞭なところで発達したエコーが見られ,時間20ミリ前後の強雨になったところがありました.
28日21時,0時,3時の925hPa相当温位・流線・レーダーエコー
<予想>
この後,日本海の低気圧に対応する渦は,後面から南側に回り込んでくる(寒冷渦の南を回る)トラフの北側に追いやられて次第に不明瞭になり,対応する低気圧の中心も不明瞭になります.ただ,850hPaでは低気圧の南側にのびるシアラインは明瞭なままで,回り込んでくるトラフの動向に伴って,今夜にかけて北海道付近に接近・通過していく見込みです.このため,北海道付近では,夜のはじめごろのシアライン通過に伴う不安定現象に注意が必要です.一方,南岸を東北東進してきた低気圧に対応する5640m付近のトラフは,朝にはトラフが地上低気圧に先行してしまいます.そのため,東海上に抜けた前線帯は残りますが,低気圧自体は特に発達せず,今夜にかけて北海道の東海上に達し,低気圧中心は次第に不明瞭になる見込みです.西日本から東日本にかけて,高気圧に覆われてきます.上空は西南西から南西場が続き,関東南部には気圧の谷が残りますが,700hPa付近は乾燥してくる予想になっていて,天気が崩れることはない見込みです.
以上は,FAX図の解説なので,読みながら見てみてください.925hPaの相当温位・風の分布だけはFAX図にないので載せておきました.