寒冷渦がやってきて大気の状態が不安定
左:水蒸気画像 右:赤外画像
水蒸気画像では大陸側の日本海中部で明瞭な渦が見られます.寒冷渦です.赤外画像では寒冷渦に対応する雲域は一丁前にコンマ状をしていてこちらもぐるっと渦を巻いています.
GSM(19日21時イニシャル) 左上:高度・渦度12時間予想図 右上:高度・渦度24時間予想図
左下:地上気圧・風・降水量12時間予想図 右下:地上気圧・風降水量24時間予想図
寒冷渦はこの後,日本海を東北東進して夜には津軽海峡付近に達する予想です.上の図に赤色(-12℃線)やピンク線で表した等値線は500hPaの等温線で,夜にかけて-18℃以下の寒気核を持って近づいてくる予定で,これで大気の状態が不安定になるということです.「大気の状態が不安定」であっても,不安定現象が起こる所は寒気だけを見ても分かりません.
GSM850hPa風・気温,700hPa鉛直P速度 左:12時間予想図 右:24時間予想図
12時間予想図において850hPaの風の分布は低気圧性循環が明瞭です.中心に青バツ印をつけました.この前面では9~12℃線が北に盛り上がって,しっかりと上昇流域になっています.この付近のシアが夜には日本海沿岸に達する予想になっているのです.不安定現象は,北海道の南から東北地方の日本海側で夜までには発生しそうです.では,もっと拡大してこのあたりを見てみます.
MSM925hPa相当温位・風予想図 左:9時 右:15時
925hPaでも低気圧循環は明瞭です.特にその前面に流れ込む330K以上の相当温位の空気(紫色の領域)は,範囲こそ狭くなってきますが,夕方には強い南西風で吹きこむ予想です.ですから,今日の午後は大気の状態が不安定な中で,下層に一番強く暖湿気が吹きこんでくる青森や秋田・北海道の檜山,胆振,空知あたりでは特に落雷・突風・短時間強雨・降雹などの不安定現象に最も注意しなければならないということです.
その後,明日の未明頃にかけては東北地方日本海側から北陸地方まで,シアの通過に伴う雷雨に注意です.