台風18号は速度を上げつつ北東進しています
現在17時過ぎですが,アメダスの風の分布やレーダーエコーの分布から,宿毛のあたりに居ると見られます(マークしてある所).特に台風の北~北西側にかけて強いエコーが分布しています.この後の予想を,朝9時イニシャルのGSMで見てみます.
(↑500hPa高度・渦度分布 左:12時間 右:24時間予想図)
台風の北西側上空で今夜から明日朝にかけて深まってくるトラフの前面,5700~5760m付近の流れ(紫の矢印付近)に乗って,次第に速度をあげつつ北東進していく予想です.
(↑地上気圧・風・降水量 左:12時間 右:24時間予想図)
地上気圧で見ると,今夜はまだ瀬戸内海付近に居ますが明日朝には秋田沖に達する予想になっています.12時間予想図で特に降水量が多くなっている所を赤丸してみました.台風中心に北側から北西側で多くなっていますね.これは,実況でも同じような特徴が出ています.このような降水量分布になるのは…
(↑850hPa気温・風,700hPa鉛直P速度 左:12時間 右:24時間予想図)
台風周辺の低気圧循環の北西側で12℃~18℃の等温線に着目すると温度傾度が結構大きくなっているのが分かります(緑丸で囲った部分).秋の台風らしさが出ています.ここで降水量が多くなってしまうのですね.特に,明日の未明頃にかけては中国地方~近畿地方,北陸地方にかけて大雨に警戒です.このように台風の循環の北西側の寒気移流はしっかりとしていて,今夜は日本海にある15℃線は明日朝には本州南岸まで南下する予想です.東日本は中部山岳地帯のせいでそんなにすんなり南下させてもらえませんが…明日朝には,南岸に寒冷前線,北日本から南東海上にかけて温暖前線を描きたい形になっています.
(↑850hPa相当温位・風 左:12時間 右:24時間予想図)
もちろん台風の循環の前面に流れ込む暖湿気も当然強いです.今夜遅くにかけて太平洋側の南~南東斜面も大雨に警戒する必要があります.関東地方は,850hPaの相当温位で見ると,345K以上の高相当温位の空気が流れ込む予想になっています.なっていますが,形が奇妙です.関東南部の所で等相当温位線が南に凹んでいませんか?
一番最初の図と同じ時刻の関東地方拡大です.台風周辺の雨とは別件で,まとまったエコーがかかっており,関東地方は埼玉~東京~神奈川で北風,茨城~千葉で北東風が卓越し,低気圧循環ができています.
15時の速報天気図によれば,関東南岸に前線が停滞し,前線の北側には高気圧が張り出していますから,これをもっと虫眼鏡で拡大して,関東だけで等圧線を引いてみると,
きっとこんな感じで,内陸の気圧が高くなっていると考えられます.下層にしっかりと冷気層ができて,関東南岸には沿岸前線ができているようです.この冷気層の上空に暖湿気がどんどん入って止み間の無い雨が降っている状態です.北寄りの風がしっかり吹いて東京湾では12m/sぐらい吹いていますが,スゴイ強風ということではありません.コワイのは,この後です.
この後,台風のコースからすると,関東地方では南寄りの風が吹くようになるはずですが,これだけしっかり冷気層が形成されていると沿岸前線もそう簡単に崩されません.すると,「南寄りの風に次第に変わる」ではなくて,なかなか強い風にならないなーと思ってたら「いきなり南よりの強風が吹きだす」急な変化に気をつけなければなりません.海上だったら,今の倍は吹く可能性がありますから,関東はこういう風の変化に注意する必要があります.
長くなってしまいましたが,まだ警戒しなければならないことはあります.台風が日本海を北東進している時は,東北地方の太平洋側に暖湿気が流れ込む形になりますし,明日の日中は北海道の南東側,釧路,十勝,胆振のほうに暖湿気が強く流れ込む予想です.こちらのほうの雨量にも注意していく必要があります.