台風第6号と第7号
これは,図をクリックして大きくして見てみて下さい.左が台風6号の予報進路履歴(色とりどりの細い線)と実際の経路図(太めの紫線),右が同じ要素を盛り込んだ台風7号のものです.予報進路履歴の線は,予報円の中心線を結んだものです.立て続けに北海道を狙い撃ちしたものですね.あと,どちらも北緯44度あたりで温低化してるんですね.そしてオモシロイことに,どちらの台風も気象庁予報の進路のイチバン東側を通ったということです.太めの紫線よりも東側に,予報のバラつきがあまりないですよね.うむ,これに関して理由はよく分かりませんが,こんなふうに全ての予報進路と台風の実際の経路図を重ね合わせてみると,気付くことってあるもんですね.
いずれにしても,台風6号も7号も振り返ってみると,ホントにルール通りに移動するもんだな…と思って.当たり前ですが.台風は一般風に流されて動く性質があり,例えば盛夏期で南海上の傾圧性が小さい時などは,一般風が弱く,迷走する台風なんかもあります.一方で,今年のように一般風がちょっとトリッキーな感じの時もあるわけです.
左:8月13日9時 右:8月16日9時 500hPa高度・風(初期時刻から12時間後の予想図)
台風が流される一般風の高度は大体500hPaあたりの風で,低緯度から中緯度帯に入ってくる時にいちばん便りになる流れが,5880m付近の高度場に対応する太平洋高気圧の縁辺の流れです.上の図は,台風6号と7号がいよいよ日本に向かってくる段階に入っている時の500hPaの流れです.5880mの等高度線は見慣れた夏の場とは少し様子の違う形ではあります.でも,台風はちゃんと,いちばん強い流れになっている5880mの縁辺に沿って移動しています.
500hPaの高度場がトリッキーなのがエルニーニョの影響だのなんだのは分かりません.そんなことお構いなしに,台風はルールに従って動きます.台風の予報に限らずですが,やっぱり天気図はまともに見ないで慣習にとらわれてしまわないように,素直にしっかり見ることが大事だと思います.