黄海高気圧・コーちゃんの季節です
今朝3時の天気図です.南海上には前線が長々とのびています.梅雨の時期に現れる停滞前線ですね,こりゃ.大体4月末から5月上旬のあたりで,沖縄方面は梅雨入りしてきますが,今年もそんな時期になってきます.梅雨と言えば,普段あまり脚光をあびない高気圧に注目されますよね.ほら,あの有名なお2人…北の冷たいボス「オホーツク海高気圧」,南の暖かいジャイアント「太平洋高気圧」です.気象予報士の勉強で開くテキストの類は,この2つの高気圧の間に引かれる前線として紹介されているのがほとんどだと思います.
しかーし!西日本,特に九州地方あたりに注目して見ると,遠いオホーツク海からの影響よりも,もっとお近くに!かなり強力な影響力を持つ!高気圧があるのです.それが…黄海高気圧です.これ,2年前ぐらいから言ってるんですけど,そろそろ有名になってきましたでしょうか….これは,JAMSTECの茂木耕作さん(つまりモテサクさん)により,「あー居る居る!そう言えば,そこに居るわ!」と気付かされた高気圧です.
オホ高や太平洋高気圧より小ぶり,にっこりほほ笑む黄海高気圧のコーちゃん…
<高気圧を無視すると怖いぜ>
高気圧というと,まるで平和の象徴かのように思われるかもしれませんが,高気圧がその周辺でいかに悪さしているか…よく見ないと,笑顔で近づいてきて,見えない所ですねを蹴られますよ.黄海高気圧に注目すれば,梅雨前線の南側に流れ込む暖かく湿った空気が大雨をもたらすことがありますが,前線の北側の高気圧は,前線の北上をおさえている存在ですから,前線付近の対流活動が活発なのか,不活発なのかを考える時には無視できません.大雨の原因の一端を担っていることがあるんです.つまり,わざわざ命名して,注目させなきゃいけない存在ってことです.
東シナ海あたりに注目すると,海面水温の温度傾度が非常に大きくなっているのがわかります.黒潮が流れている周辺で特に温度差が大きくなっています.まあ,黒潮ですからね…実はこの辺の海域は黒潮を挟んで南側は深い海ですが,北側の黄海は水深わずか100mポッキリ!やたらとデカイ琵琶湖ぐらいのものなのです.この浅さのせいで,大気への影響,大気からの影響,お互いにビビットに影響し合っているというのです.だから大気のほうでも,このあたりに梅雨前線があるようなんですねー.
4月終わりあたり,そろそろ梅雨の時期かなという頃はまだ,黄海はとても冷たく高気圧が停滞しやすい場になっています.それが季節が進むにつれて黄海が次第に暖まってくると,温度傾度の大きい所も次第に北上し,停滞しやすかった黄海も次第に居心地が悪くなって,停滞しないようになります.それがすなわち,梅雨明けということです.
と,私がくどくど説明するよりも,動画で見てもらったほうがいいかな.実際にモテサクさんの話も聞いてみよう!