気象予報士試験は通過点だ!
昨日,今日と寒い日が続いています.気象予報士試験を明日に控えて,皆様,体調など崩されていないですか??
今日,いきなり思い出したんです.5年ぐらい前の南岸低気圧の時に大失敗したことを(・∀・;)2011年2月11日….その前から雪の予報が出ていて,私も予報の仕事をやっていましたから,天気図を見て雪の予想をしていました.その雪のイメージは,東京都心でも3~4cmぐらいの積雪で,雪だるまができる!そんな感じで,仕事以外でも,友達に言ったりブログに書いたりなどしていました.
11日当日,蓋をあけてみれば積雪なんてちっともしませんでした.朝から雪は降ってたんです.でも,全然積もっていかないのです.せいぜい路肩の植え込みの葉っぱに,シャーベットが少々という程度でした.「雪だるまできるよ!」私がそんなことを吹聴していたことなんて,まあ周りの人も覚えてないだろうし,ブログを読んでくれてる方もそんな多くありませんから,なんとも思っていなかったとは思いますが,それでも,自分の中のイメージとかけ離れていて,恥ずかしい!と思ったことを覚えています.
<その時,どんな天気図を見て,どうしてそう思ったのか?>
その私の中での大失敗の一つは,予報士になってから3年目ぐらいだったんですが,じゃあ,それから5年位たった今,当時の天気図を見たら,私はどんな印象を持つだろうか?ふと,そんなことを思い,雪予報の前日のイニシャルの天気図を見てみました.
解析してませんが,拡大して見てみてください.上空500hPaを見ると,トラフが深まってやがて切り離される寒冷渦があります.地上気圧で見ると,確かに南岸が気圧の谷となっており,前線や低気圧があります.ただ,この期間は上空のトラフと低気圧の対応はあまりよくないようで,特に36時間先までは低気圧の発達も大したことない状況です.計算されている降水量は少ないです.
温度場で見ると,下層はかなり強い寒気に支配されていたようで,-6℃線は関東南部まで南下しています.降水があるなら,まずは「雪」と考えて,あとはいつから雪になるのか?降雪量はどれぐらいか?積雪はどうなるのか?そんなことを考えなければならなそうです.
降雪量を考えるなら,まずは降水量について考えなければなりませんが,850hPaの相当温位で見ると,前線の南側からの暖湿気の流れ込みは大して強くなく,なるほど,降水量が少なくなっているのはこういうことか,と分かります.にも関わらず,当時「雪だるま」をイメージしてしまったのは,一番は上空の温度かもしれないです.これだけ寒気が強ければ,降水は全部雪になる,そして雪になったものは積もる!単純にそう思ったのかも知れません.しかし,それが今なら,少し違うと分かります.
降水量がそもそも少ないこと,強く降る時間が無さそうなこと(メリハリが無い),降水の時間帯が日中が中心であること,などを考慮すると,今,この予想図だけで考えられるのは,雪は降るにしても「雪だるま」の予報はちょっと考えにくいと思いました.まーね,答え知ってるから,そういう見方しちゃってるのかも知れないけど!それでも,少しは成長してきたのか??そんなふうに思いました.そりゃ成長しないとダメだけど!それでも,この先,この時と同じような状況の天気図に遭遇して,じゃあちゃんと予報が当てられるのか?と言われれば,実はまだ不安です.反省を踏まえて,天気図をじっくり見る…この先もまだまだ反省と勉強の繰り返しなのです.
<気象予報士試験は,通過点>
気象予報士試験は難しいです.難しいから,このハードルがとてつもなく高いハードルだと思ってしまう方も多いと思いますが,私が今思うことは,「予報士試験は単なる通過点だ」ということです.要するに,気象予報士試験に合格しようがしまいが…天気の勉強が続いていくことは,私も,予報士試験挑戦中の方々も,ベテラン予報官も,とにかく天気に付き合って行く人たちはみーーーーんな,同じだということです.だから,どーん!と大きな気持ちで試験に臨んだら,きっと200%の力を発揮できるんじゃないかな~って思うんです!もし,試験を前にしてスゴイ緊張してしまったら,ぜひ「てんコロ.おばさんも勉強中だ!状況は同じだぜ!」と思って頑張って下さい!!