あれ?蜃気楼ブームかな,私的に…
これまでも蜃気楼ってスゴイなあ,とか見てみたいなあ,と思いを馳せたことはありますが,それで心をかき乱される!仕事が手に就かなくなる!ということはありませんでした.あ,まあ別に今回もそこまでの情熱ではないのですが…ネットで蜃気楼の記事を見つけたんです.それがまた,スゴイ写真でしてね…
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151118-00000092-it_nlab-sci 蜃気楼・根室で検索すれば,すぐヒットしますが.
11月17日に根室湾で撮られた写真らしいのですが,どうですか,コレ!UFO?ポルターガイスト??船が水平線からだいぶ浮いちゃってます.しかもクッキリ.
蜃気楼の発生に関して,ワタクシ底の浅い上辺だけの知識しかありませんので,この写真を見た時は「おおおお!オレも撮りたい!撮って自慢したい!」そんな下衆な思いを抱いてしまいました(・∀・)うーむ,実にうらやましい.
<大気の中にできる密度差の大きい層>
薄い知識で言えば,大気層に暖かい空気と冷たい空気が接して,密度差の大きい大気層ができると,そこを通る光が屈折するため,像がのびて見えたり逆さに見えたりするということですよね.もう少し詳しく調べるか…ということで,その筋で有名な所で言えば,やはり富山でしょうか.魚津埋没林記念館のホームページに蜃気楼発生の仕組みなどが詳しく書かれていました.それによると…
えーと.そのホームページ見て書いてみたんですけどー.下手ですね.
蜃気楼の見え方には大きくわけて2つあって,上の図は上位蜃気楼,下の図は下位蜃気楼の仕組みを示しています.温度差の大きくない大気の中では,対岸の家はストレートに反対側の人間の眼に届きます.ということで,紫色(青色っぽいか)の線は,普通の光の進み方です.ところが,大気層の中に密度差の大きな層ができると,光は冷たい空気側に曲げられるという特徴があり,オレンジ色の線のように光が進むことになります.人間にとっては,目に飛び込んできた光の延長線上に像があるように見えるので,光の延長線上,つまり黒い線のように像が見える,ということです.
上位蜃気楼は,実像よりも上に虚像が現れるヤツで,海が冷え切った状態で暖かい空気が流れ込む時によく現れるので,春先によく見られ,下位蜃気楼は,実像よりも下に虚像が現れるので,まだ暖かい海上に接する暖かい空気と冷たい空気が接する時によく現れるので,冬の間によく見られるということです.これによると,今回,あのSFチックに現れた浮いてる船は,通常よりも水平線が下がって見えた,ということだろうか.
当日の気象データをもろもろ分かる範囲で調べてみると,この辺の最高気温は13℃以上で結構あったかくなった日なんですね,一方,海面水温は10℃以上.うーむ?そんなに温度が?というか,この絵で見て分かる(?)ように,密度差の大きな層ってすごーく薄い層でできるもんで,そもそも既存の気象データだけではどんな条件が一番効いたのか分からないんですね.はー,なるほど.
<蜃気楼ができる時の気象条件が詳しく分かっちゃうかも>
それで,さらにこんな記事を見つけたのです.「富山湾の蜃気楼 高性能レーダーで探る」です.
富山湾全域を5mメッシュ,秒単位で観測するというプロジェクトだそうで,この夏から行われているそうです!コレはスゴイ.確かに,さっき調べた通り,蜃気楼はだいぶ低くて薄い層の中で大きな密度差がある(かどうか)が大事ということなら,これほどの空間的・時間的間隔で大気状態を観測してくれたら,なんか捉えられる気がしますね(・∀・)!うん,なんか期待できそう!
もちろん,蜃気楼のためだけにこんな大規模な共同研究がなされているわけではありません.既存の観測網では捉えられない,竜巻,集中豪雨などの小さいスケールの現象が発生する場がどのような大気状態なのか,より詳細に捉えて解析する,という主たる防災の目的があるわけです.しかーし!せっかくだから,富山湾という,特異な場所,特有の現象を解明することができれば,例えば蜃気楼発生予測(今もありますが)は,精度がよくなって,その日に行けばビシッと蜃気楼が見られる!そうなれば,いよいよワタクシも,蜃気楼の写真を撮ることができる!かもしれません(・∀・)