低気圧三兄弟の人生劇場
前線を伴って低気圧のほうが主役に見えますが,実況をもろもろ確認してみると,この時間帯はどうもそうでもないような感じでした.朝9時の850hPa天気図を見てみると…
黄海から日本海にかけて前線帯になっていますが,特に黄海には低気圧のスタンプもありまして,この時間はまだこちらのほうがしっかりした低気圧の構造になっていたようです.実際,下の気象衛星画像(13時)では,可視画像(左)で低気圧性の循環が渦のようになっています.まあ赤外画像では,あまり発達した雲域はないですから,大して背の高い構造ではないですが,日本海の低気圧に対して,黄海の低気圧はちょっとお兄ちゃんぐらいの感じです.いずれ,今夜にかけては日本海の前線を伴った低気圧,つまり弟が主役になっていきます.この後,兄弟たちはどんな運命をたどるのでしょうか?予想図で見てみます.
上空のトラフとあまり対応がよくありませんが,南西流場の中で弟はせっせと日本海を北東進します.暖湿気が南西風の強い風で暖域に流入します.でも低気圧の中心に周りこむような形ではなく,循環の前面にどんどこ送り込まれるようです.送り込まれる先…地上気圧では低気圧(Lスタンプ)はありませんが,850hPaの前線帯で北海道の西のあたりに弱いながら低気圧循環があります.おー,弟の進むその先に,三男が生まれていたか!この,三男の南に暖湿気が流入していき,成長して,気付けば,明日の朝には北海道の南に前線を伴った低気圧として,立派に成人するのです.2人のお兄さんたちも,明日の朝はまだ秋田沖と対馬海峡付近に残っていますが,天気図上では,もう低気圧として存在させてもらえないかも知れません.
いつも,一つの低気圧が生まれてから死ぬまで脚光を浴びるとは限りません.こんなふうに,長男から次男,三男へと主役が移り変わることがよくあります.一人の人生よりも,複数の人生が複雑に絡み合っているほうが,ドラマはオモシロイじゃないですか!天気図もきっとそうです.じっくり見てみましょう!