10日にかけてどこで雨が多くなるのか,いつ風が強まるのか
9月8日9時の地上天気図です.前線が南岸に停滞しています.その南の海上,台風18号アータウ君が北上中です.
「台風からの湿った空気が流れ込み」と言いますが,どこにどのように流れ込むのか,それは天気図をよく見てみないと分かりません.今回の台風は,上空500hPa付近の流れを見ると,切り離された寒冷渦の前面に進んでくるため,動きがトリッキーです.また,台風の周りの高気圧の位置も,どのような風を吹かせるかに関わってきますから,どこで雨量が多くなるか,よくよく見てみないとですね.
↓今日15時までの24時間で,静岡県や三重県ですでに結構な雨量になっている所があります.現在は,静岡県よりも西のほう,愛知県や三重県に強いエコーが見られます.また,関東でも,しっかりとした雨になっているようです.丸ベースに載せた矢羽は,ウィンドプロファイラ観測の上空1500m付近の風ですが,東~北東の風が卓越しているのが分かります.関東では,さらに上の700hPaでは南寄りの風が卓越し(図はありません),広く層状に広がる雲域の中で,下層のシアが大きい千葉県北西部~東京23区~神奈川東部にかけて,対流がやや発達している所があるという状況です.この風向からすると,下層の暖湿気流入は,今は台風から湿った空気が入っているわけではなさそうです.
この後の雨の予想をMSMで見てみます.すでに大雨になっている所では,今後はどうなるのでしょうか.今夜21時から明日15時までの6時間毎の予想です.紫の実線は925hPaの相当温位,矢印は同じ等圧面の流線です.
台風は順調に北上を続けて,MSMの予想によると東海地方に上陸するかっこうになっています.今夜にかけて目立つのは,愛知県や三重県で降水量が多くなっている所ですね.台風の北側の前線帯で東風の吹きこみと,前線帯の北側で吹く北東風との間でシアが大きくなっている所のようです.その後,このシアは次第に解消して,いよいよ台風の循環が近づいてくるという感じです.台風が接近すると,循環の東側では南~南東風が吹きこむ静岡県や神奈川県の西部山沿いなどで,特に雨量が多くなっています.一方,循環の西側にあたる,三重県,福井県,滋賀県,岐阜県でも雨量が多くなりそうです.紫の太実線で示した342K以上の高相当温位の空気を手がかりに,下層の大気の流れに注目すると,西側から吹き込む北寄りの風で相当温位の低い空気の流れ込みも明瞭でですから,この西側の雨についても注意が必要です.その後(9日15時以降),低気圧性循環の北上とともに,西側から南側に周り混んでくる南西風と,東側の高気圧の後面で日本付近に吹き込む東寄りの風の間で収束が強まり,狭い範囲で相当温位の高い空気が吹きこむ形になる東海~関東地方の山沿いの雨も警戒していかなければなりません.風についても,台風が近づくにつれて,より下層の低気圧性循環が強まり,台風の接近の際は急な風の強まりにも注意しないと…要するに,あれもこれも,時間帯もまちまちに,注意が必要です.
<広い範囲を一度に注意するのは大変です.まずは,身近なところから…>
となると,広い範囲を一度に全部注意していくのは大変です.例えば,自分が住んでいる所について,自分の家族が住んでいる所など,所縁のある所に注目して,そこでは何時からどんな気象に注意しなければならないのか,詳しく見ていくのがいいと思います.