異常な事態を「異常」と察知できるかどうか

13日の毎日新聞ニュースに、広島の土砂災害についての記事がありました。http://mainichi.jp/select/news/20140913k0000e040249000c.html

とある地区では、避難勧告前に異常に気付いた住民の一人が、近所の人に電話をして、これはヤバイからみんなたたき起そう!ってことで、こちらの地域の方はケガをした人は居たものの、全員助かったそうです。避難勧告が出る前の行動、各々ができる範囲の避難でみんなが助かる、理想的なケースの一つだったと思うのです。

<異常な事態を、ちゃんと「異常」だと認識すること>

記事によると、その地区の住民の一人が、夜中3時頃のあまりの雷雨に「異常」を感じて、同じ地区に住む別の方に電話をかけたそうです。それで、様子を見てもらって、「これは、みんなをたたき起そう!」となったと言います。まだ薄暗いですし、もう既に水が上がってきてましたから、外に出るのは危険にせよ、2階に避難するなど早めの行動が功を奏したということです。私が大事だと思うのは、「異常」をちゃんと異常だと思えたことだと思います。たしか10年以上前に、韓国で大変な地下鉄火災があり、多くの人が亡くなったことがありました。その時、被害が大きくなった原因の一つに、「正常性バイアス」「多数派同調バイアス」という心理が働いたのではないかと言われていましたが、それを思い出しました。

私たちは、子供の頃から「避難訓練」など、まじめに取り組んできているほうだと思うのですが、どうも実際の非常事態と結びつかないのが現状のようです。広島の大雨も、この雨の降り方はヤバイのではないか?こんな降り方見たことないな、など、個人個人は違和感を感じている人は多かったに違いありません。でも、異常を感じ始めているのに、誰かがそれを声に出さない限り、「自分は大丈夫だろう」と思ってしまうのではないでしょうか。そんな中、記事にもありますが、いち早く「異常」を察知して、午前3時という真夜中であるにも関わらず、思い切って電話をかけるという行動が、まずはこの地区の皆さんが助かった大きな理由だと思います。

「避難勧告」「避難指示」は、違和感を感じ始めたみんなが、やっと行動を起こすスイッチになっているのかも知れません。でも、それがスイッチでは遅いのです。その前に、異常事態であることを認識しているかどうかが重要です。

自分が住んでいる町で、大雨が降った時、自分は「これは異常だ」といつ察知できるでしょうか。そして、どんな行動に移せるでしょうか。私は、気象の情報を出す側にも居ますが、それでも疑わしいです。まずは、「自分だけは大丈夫」という根拠のない、最低の自信を捨てることから始めてみます。

<ラジオっぽいTV!375(広島の土砂災害・避難勧告前に行動)>

 

2014年9月15日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
カテゴリー:ラジオっぽいTV!, 天気の話題