ヒートアイランド現象!(第1回ニコニコ気象研究会のまとめ1)
先日、横浜・関内で行われました、気象サイエンスパフェ!=第1回ニコニコ気象研究会が行われました。気象サイエンスパフェは、いつも楽しく、ワイワイやっています。今回も楽しくワイワイ…は基本ですが、その上で内容がスーパー濃厚でした。皆さんにも、ぜひ動画を見てほしいなあ。
ヒートアイランド現象・京都大学酒井先生のHOTなヒートアイランドのお話!
☆「日中の最高気温が35℃を超えて猛暑になりました。その理由は、ヒートアイランド現象です…」
コレ、天気予報なんかで時々言われていることです。気象の勉強をしている方は分かると思いますが、ヒートアイランド現象とはそもそも⇒冬の夜間に都市部の気温が下がらず、朝の最低気温が出る時間帯に都市部だけ閉じた等温線で周辺部より温度が高い、そんなことになっちゃうのがヒートアイランド現象です。酒井先生らは、かつてヒートアイランド現象を研究する時、寒い寒いって言いながら気温測ってた…とのこと!まさに冬の特徴として研究されてたんですね。ところが、最近は夏の昼間の暑さでも「ヒートアイランド」が問題になっていると言います。
☆都市部と郊外の温度を測ってみよう!
というわけで、酒井先生たちは実際に京都のあちこちの気温を測ってみたそうです。すると、気温はどこで測っても大体同じだったそうです。アレ?じゃあやっぱり、夏のヒートアイランドはウソじゃん!でも、私たちはやっぱり、郊外よりも都市部で暑いと感じます。おかしいですね~。ヒントは、人工衛星で地球の温度を測ると、気温は変わらなかったハズなのに、都市部の温度が熱く出るんですって。分かりましたか?実は、人工衛星が測っている温度は、地表面の温度であって空気の温度ではありません。「放射」を測っているのです。つまり、都市部ではビルや地面からの赤外放射が、人間に熱をぶん投げてくるから、暑いんです!輻射熱です。一般分野の「放射」の勉強を思い出してみましょう!赤外線は目に見えません。でもそれを感じることはできます。それが酒井先生が見せてくれた実験です。フライパンをカラ煎りしたあと(安全にね)、顔を近づけてみましょう。あっついですよね。でもそれは、熱せられたフライパンの熱が空気に伝わって、その空気に包まれるから「アツイ」と感じるわけではありません。そんなスピードじゃないですよね。フライパンに顔を近づけた瞬間にアツイですよね。それが赤外放射、光、です。輻射熱に戻ります。例えば、真夏に地面がガンガン熱せられると、道路は60℃以上になることがあります。その輻射熱を人間が受けるとすると、大体100W位の熱をもらっていることになるそうです。それは、カイロ100枚分位だそうです。そらーアツイわ。つまり、空気の暑さではなく、輻射熱が暑さの原因だったわけです。
☆デッカイ平らな面が、一番熱くなる!
人工衛星から測った温度を調べてみると、工場や駐車場など大きな一様な面ほど、あつあつになることが分かります。そういう意味では、コンクリートでなくても、芝生が一面に広く広がるゴルフ場も、芝生のクセにあつあつになるそうです。なんとなく意外ですが、要するに、風が吹いた時に地表面の熱が効率よく空気のほうに逃げてくれないとダメで、だから芝生も葉っぱは一枚一枚は表面積が小さいけど、一様に広がってしまってるから、風がその間を抜けられず、熱が空気に逃げにくい、アツイ。。。ということになってしまうのです。じゃあ、どうしたらいいのか?
☆「次元」の話は…むずかしいです。
都市部の熱を効率よく空気に逃がすには、表面積が小さくて、その間を風が通りやすくて…だから、都市部の表面を、細かくちぎって、3次元空間にばらまく!(?_?)まるで紙吹雪のようにですか?どうしたらいいのだろうか?そのヒントになったのが、「シェルピンスキー四面体」というものだそうです。ここは、気象予報士試験では、きょとーんで大丈夫だと思います(^_^)。こんな風に言ってしまっていいか分かりませんが、ある方向から見ると一つの平面だけど、ある方向から見ると、スカスカの構造になる、なんかだまし絵みたいな構造、それがシェルピンスキー四面体です。動画の中の絵を見ていただければ分かると思いますが、まさに3次元空間にキレイにばらまかれた紙吹雪みたいです。おおお。実際に模型を作って、実験してみた所、なんと温度が低くなった!スゴイ。そして、それは概ね樹木に似てるではないか!ということなんです。
☆日陰を作ればいい!ってもんじゃないんだね。
バス停、自転車置き場、ガレージなど、ちょっとした屋根のある下って、日陰になってるから涼しいハズ…なのに、暑くないですか?あれは、日射しで屋根そのものをあっためて、暖められた屋根がその温度でできる赤外放射をしちゃって、日陰にいる人間に熱を伝えてしまっているのです。普通に考えれば、不思議ですよね。日光を遮れば、暑くない!と思ってる一方で、木陰は、日射しが少し漏れているのに、涼しく感じるんです。酒井先生のお話は、予報士試験の一般分野の「放射」の勉強をすると、よく分かる、とても面白いお話しでした。また、「放射がよく分からないな~」という人は、この酒井先生の動画を見てみると、なるほど!と思えるかも知れません!