大島の大雨の発生要因に関する報道発表資料を読んでみよう
だいぶ…日が空いてしまいました。なんてこったい(>_<)。
<てんコロ.のラジオっぽいTV!91(大島の大雨要因の報道発表資料を読んでみよう)>
おととい、気象庁から台風第26号に伴って発生した大島の大雨要因に関する報道発表資料が出まして、読んでみました。皆さんは、もう読みましたか?主な要因は、2つで、一つは関東平野の下層にできた冷気層や房総半島などで降った降水による冷気の吹き出しに因り形成された局地前線、もう一つは「伊豆大島の地形に因るもの」というんです!
前者については、実況でも把握できることであり、秋の台風では警戒しなければならないことです。下層の収束度合いとか、気温の分布を載せてみます。
左が気温の分布で、右はレーダーエコーを重ねたものです。風の水平シアが大きい所で強いエコーが見られます。そして、その風の水平シアの北側と南側では、気温がかなり違いますね。報道資料にもある通りです。
秋の台風で気を付けなければならないのは、こういった局地的にできる前線です。10月とは言え、真夏とは明らかに状況が異なります。真夏なら、夜だって関東平野にこんな冷気はなく、同じコースで台風が進んだら、こんな所に収束線なんてできず、そのまま山に突っ込みます。恐らく、箱根とか丹沢とかあたりで降水量が多くなるのでしょう。
しかし、問題は2つ目です。「大島の地形の影響」とは、どういったものなのだろうか?
普通、気象予報士試験などで、「地形性の降水」なんていうキーワードで出てくるのは、斜面による強制上昇が一般的ですが、どうも今回の「地形の影響」はそういうことではないみたいです。(読んでみてね)
北寄りの風が吹き続けていた中で、大雨になったアメダス地点の「大島」と、北側にある「大島北ノ山」の降水量を比べると、たった4kmしか離れていないのに、降水量が倍ぐらい違うのです。それが、北寄りの風が吹きこんできて、大島の地形と摩擦の影響で、大島で風が弱まり、吹き寄せられてきた雨粒が、ちょうど大島で風が弱くなって集中的に落っこちた的なことらしいのです。(高度1kmから降ってくる降水)
局地前線の原因のほうは、実況である程度把握できるし、予測の段階でも警戒しなければならない項目(どこに収束線ができるか、降水量の定量的予測は難しいけど)として頭に置いておくことができます。しかし、2つ目の要因は…これは、数値シミュレーションしてみて、やっと分かったことであり、じゃあ、これが教訓となって、次に同じような場になった時に、この効果を加味した予報が出せるのか?と言ったら、それはちょっとムリです。せめて、こんなパターンがあった、と覚えておくことが、今のところ出来ることなのかな、そんな風に思いました。
皆さんも、報道資料を読んでみてください。