山口県の大雨

山口県徳佐:4時34.5、5時5.5、6時58.5、7時37.5、8時48.0、9時43.5

        10時66.0、11時9.5

山口県須佐:10時34.5、11時107.0、12時137.5、13時38.5、14時18.5

<27日12Zイニシャル>

FAX図では、なかなかここまでの雨量になることまで想像するのは難しかったです。須佐で時間100ミリを超える雨が降った午前中の雨を中心に下層~上層までもう少し詳しく見てみます。

<MSM地上3時イニシャル(6時)>

太平洋高気圧の縁辺流が、対馬海峡に流れ込む形となっています。大気のごくごく下層に蓄積された非常に湿った空気が、対馬海峡に流れ込んでいたかも知れません。豪雨となったあたりをもう少し拡大して、950、925、850の等圧面で風と相当温位を見てみます。

<↑MSM950hPa9時イニシャル・10時の雨雲>

<↑MSM925hPa6時イニシャル・9時の雨雲>

<↑MSM850hPa6時イニシャル・9時の雨雲>

相当温位345K以上を太線で色付けしてあります。全部予想図ですが、初期時刻に近いものです。下層は全体的に南西~西南西風です。拡大して見ると分かると思いますが、地上風は南風が卓越しています。図では示しませんが、700から上空が西北西~北西の流れとなっています。シアが大きい状態のようです。

浜田のウィンドプロファイラです。強い下降気流が観測(青色の▼)されているのは、雨が降っている所です。地上は南~南西風の所で強い雨が降っています。

最後に、特に1時間雨量が多かった須佐の10時~11時頃のレーダー画像を見てみます。

<10:40、11:00、11:20>

須佐に向かって、線状にエコーがのびていくのが分かりますか?ここには、なにか収束帯がありそうな感じです。載せませんが、松江の状態曲線では600hPaあたりに逆転層があって、そもそも大気の状態としてはすごい上空まで発達しやすい、という状況ではなかったのではないかと思いました。かなり下層の高度で凝結して、収束帯の上昇流でグイッと自由対流高度まで達しちゃったのでしょうか。。。一度こういう線状のエコーができてしまうと、このライン上で凝結熱がたっぷり出て、周囲よりも気圧が下がり、さらに収束が強まる、ということがあります。もしかしたらそういう効果もあったかも知れません。

いずれにしても、ムズカシイ予測だったと思いました。この危険性を、どれぐらい前から察知することができるか、それが防災上重要になってきますね。8月終わりから始まる「特別警報」レベルの今回の豪雨でしたが、実際の運用が始まっていたら、特別警報は出せたのでしょうか?出せたとしたら、いつのタイミングで出していたのでしょうか?予測以外にもムズカシイことはいっぱいあります。

2013年7月29日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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