ワケ分からんうちから、天気図に見慣れよう
てんコロ.&防災気象プロ共同開催「気象予報士スクール」は、現在
学科一般分野がぐいぐい進行中です。
そうこうしているうちに、もうすぐ6月です。6月8日からは、実技講座が始まります。本来なら、専門分野の終わりの方から
少しずつ天気図見たりして、実技に入っていきますが。。。うちの講座は、今のうちから見てます(・∀・)
なぜなら、天気図はまず「見慣れること」が大事だったりするからです。お勉強中の方で、まだ天気図を見たことがない!
というかたは、ぜひ天気図を見てみてください。
<日本すら見当たらない…>
天気図を見て愕然とするのは、描かれている情報の多さ、というか細かさです。等値線の数も多くて。すると、何が起こるか?
日本が見つけられないのです(T_T)
じっと目を凝らしても、遠くに離してみても…見慣れていないと浮かび上がってきません。実際の試験では、日本を見つける…
なんて悠長なことしていられません。天気図を今のうちから見る!というのは、こういうことです。何が描かれているかは、
次第に分かってくればいいこと。でも、実技に入っていきなり天気図見るのと、前々から天気図に見慣れてるのとでは、
スタートラインが明らかに違ってくる!ということ。だから、ぜひワケ分からん状態でも、天気図を見てみてほしいのです。
<前回の気象予報士スクールで見た天気図>
前回のスクールでは、ちょうど大気の大規模な流れによって、低緯度側で余っている熱を高緯度側に輸送する仕組みが
あるという話をしました。そこで、もう少し細かい話で、傾圧大気では偏西風の波動の前後で収束や発散が起こってて
それが地上の高気圧、低気圧につながってくる、ウマイ仕組みになってるんだ、という部分を勉強しました。
ちょうど、その前日(24日金曜日)に九州北部でかなりの暑さとなり、猛暑日になった所がありました(大分県日田:35.4℃)
この猛暑は決して「意外」なことではなく、実は前日の夜の実況の時点で、すでに想像がついていたということなのです。
<5月23日21時 高層天気図たち>
まだ学科一般の勉強中ですから、そんなに多くのことは見ません。上空の収束・発散が地上に与える影響ってところを中心に。
左上から、300hPa 、500hPa(左下)、700hPa(右上)、850hPa(右下)の実況天気図です。九州付近の上空に着目すると
上から下までリッジ場でしっかりとした高気圧場となっています。リッジの前面は上空収束場ですから、空気はゆっくり沈降
してくるところです。湿数を見ると、値はかなり大きく、エライ乾燥しているということが実況で分かります。
特に、地上気温に影響を与える850hPaの湿数は大きいですね。つまり、とっても乾燥した空気が翌日にかけて、ぐっと沈降
してくる可能性があるということです。福岡の850hPaの気温は、見えにくいかも知れませんが18.2℃となっています。
850hPaは大体1500m付近の空気に相当するのですが、この温度の空気が1500mから地表面まで沈降してくるのです。
つまり、乾燥断熱減率(10℃/km)に従って沈降してくるので…単純に計算しても、気温は33℃以上にはなる計算です。
それに、この優勢な高気圧の中で、日中の日射も地面にガンガン降り注ぎ、地表面付近の空気はさらに暖まります。
海風が効きにくい内陸は、もう文句なしのクソ暑さとなるでしょう。猛暑日になる地点が出てきても、おかしくない状況だった
というわけです。
こんな風に、授業だけどんどん進めるのではなく、授業内容の流れに沿って、実際の大気で起こっていることを同時に考察していく
ことが大事だと思います。だって、結局は実際の大気の動きを見て行かなければならないんだからね~(^_^)