3月28日に、関東地方がちょっともやもやした話。

【3月28日に、関東地方がちょっともやもやした話】

ちょっと前の話になってしまいますが…、3月27日~28日にかけて、夜勤やってたんですね。

夜勤って何かというと、私の場合は夕方頃にノコノコと会社に出向き、夜な夜な担当地域を見張ったり、予測出したりして

翌日の朝9時頃までそんなことやって、パソコン見すぎで目が真っ赤になる勤務です。

24時ぐらいに、東京湾あたりの会社に予測を提供するのですが、どうやら視程が悪いとのこと。

確かに、夕方会社に来た時は、上空200mぐらいの所ですが、もやもやと白い景色でした。しかし、歩いてる時は

なんでもなかったんですね。「おや?このもやもやはなんだろう?」と、よく分かりませんでした。

そして、翌朝はやっぱりもやもやで、今度は地表付近ももやもやで、友達の写真では、もはや「霧」でした。

(実況観測は「もや」ですが)

その「もや」がどうやって発生したのかな?という話です。私はよく分からなかったもので、雲粒王子に聞きました。

<まずは、「霧」のでき方から考える>

気象予報士の勉強をすると、霧が5種類(場合によっては6種類)に分類される、というふうに勉強します。もちろん、

全ての霧が、この分類にあてはまるわけではありません。まずは、でき方から考えました。

・放射冷却のように、地表面付近の温度が下がっていったのか?

・どこかから、大量の水蒸気が運ばれてきたのか?

霧とかもやは、いわば地表面付近にできた雲ですから、こういう状況を考えます。

まずは、2つ目の水蒸気から考えます。前日から、関東地方では層状性の降水が断続していて、地表面付近には

大量の水蒸気があったと思われます。しかし、1つ目の「気温の低下」について、これがどうもよく分かりません。

というのも、気温はハッキリいって全くと言っていいほど変化せずだったのです。

これを、解決したのが「冷気安定層の形成」でした。

<冷気安定層の形成>

前日から、層状性の降水があった、その雨滴からの蒸発が下層の大気を冷やして、ごく下層だけに冷気の層を

作ったようです。

<左上から、12時、15時、18時のアメダス観測。>

赤線で等温線を引きましたが、、、18時の分は力尽きました^_^;。丸ポチが観測点で、水色になってる所が、前1時間に

降水が観測された所です。ちっちゃく数字が入っているのが、気温です。見ての通り、内陸の方が気温が低くなっていて

冷気層が形成されていそうです。一番顕著に現れているのは、銚子方面の等値線の多さで分かると思います。

風も、内陸は北寄りの風が数m/sであるのに対して、銚子では南東風が10m/s程度も吹いてた時間がありました。

(その時間の図は省いてしまいましたが…)。こんなふうに、面的に観測値を見ることで、数字だけで経過を追うのでは

気付かなかったことが見えてくるのですね!私も、改めて実感です。

<朝にかけて、ごく下層に冷気層が残った>

舘野の状態曲線です。左側が27日21時、右側が28日9時です。

27日21時では、950hPa付近に明瞭な逆転層があり、それより下層が飽和状態です。28日9時でも、多少は乾燥

してきていますが、やはり975hPaあたりの逆転層以下は、結構な湿りです。

こういった飽和状態(過飽和)の中では、空気塊に含まれるエアロゾルは、雲粒になりやすいかどうかの能力にあまり

依存せずに、ちっちゃい雲粒になれるのだそうです。(雲粒王子捕捉:大気中にはいろんなエアロゾルがいっぱいあるので、

もちろん雲粒になりやすいものが膨潤して先に雲粒になるとは思いますが)

つまり、前日の雨で地表面付近に水蒸気たっぷりな冷気安定層内で、逆転層でしっかりフタをされた状態の中、

特に上昇流があるわけでもなく、それ以上粒子の大きさが大きくなったりせず、水蒸気がせっせとちっちゃい雲粒となり

結果的に、大気がもやもやした状態となったようです。

<自然は、パターンにはめられないことがたくさんある>

気象予報士の勉強をしていると、様々な「パターン」に出会います。しかし、それはあくまでも分かりやすく分類した

までであって、自然相手に全てをパターン化することなんてできない…そんなことを改めて思いました!

だからこそ、お天気の勉強って、予報士取ろうが取るまいが、ずーっと続いていくんだと思います(^_^)/

表情豊かすぎ!!

 

 

2013年3月31日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
カテゴリー:天気の話題