千葉の結構な雪
28日の朝に、千葉県や茨城県南部あたりで結構な雪が降りましたね!関東南部で降る雪は南岸だ!と思いこんじゃいけない
ですね。とんだ伏兵が現れます。今回は、なんでどいつのせいで、積雪にいたる雪が降ったのか?もちろん、犯人が1人という
わけではありません。いろいろな条件が揃って…のことだと思われます。
<27日21時初期値と12時間後の予想図>
上の段は、27日21時初期時刻の500hPa高度渦度解析図、850hPa高度・気温高層実況、下の段は12時間予想図です。
上空には、大きな正渦度極大値を持つ深いトラフがやってくる予想になっています。ここでは出しませんが、27日21時の時点
で、トラフ付近の500hPaの気温は-36℃以下のかなり強い寒気です
(500hPa気温平年値…輪島:-29.6℃ 舘野:-26.2℃)。そのトラフの深まりに伴い、朝になって関東の東海上に低気圧
が顕在化する(もともと850hPa付近にはシアがありました)、という予想です。見ての通り、ちゃんと降水の予想はされています
(水色で着色)。だから、予想外の降水ではないわけです。しかも、850hPaの気温は、前日21時に舘野で-6.7℃。
降り出しが、夜間の気温が低いうちであることを考慮すると、降水があったらまず雪で降る所が多そうだと考えられます。
沿岸部はミゾレや雨の所もあるかも知れませんが。しかし、上空に強い寒気を持参、大きい正渦度を携えて、トラフが深まって
くるわけです。となると、モデルの計算よりももっと悪いことになる…可能性もあるかも知れないし、ないかもしれないし…。
<実況>
実際は、計算よりも悪い方にシフトしましたね。地上天気図では、関東の東海上の低気圧は予想より少ししっかり目に
発達しています。舘野の9時の状態曲線を見てみると
450hPa付近から上空に等温層が見られます。ここまで対流圏界面が下がってきていたと思われます。曲線では分かり
にくいですが、舘野の9時の上空は500hPaで-38.1℃(前日21時は-31.7℃)、850hPaは-8.3℃です。
ずいぶんドスン!と寒気が入ってきたのでしょうか、6時と9時の雲画像を比べると、9時の盛り上がり方がスゴイですね。
(左:28日6時 右:28日9時 関東東岸の雲域の変化に注目)
実際は、7時から8時ぐらいに一気に盛り上がったのですが、その間の画像がありません。一気に雲域が白くなりました。
どんな雲域なのか?というと…
上の図は、左が6時、右が9時の地上実況です。関東南部で観測されている雲は、中層雲、下層雲は結構発達した積雲
が観測されています。銚子の観測データでは、雷も観測されています。対流性の降水でしょう。
なおかつ、銚子ではこの3時間に一体何があったの??っていうぐらい、気温が下がり、降水は雨から雪に変わって
います。細かく見ると、もっと劇的に変わっていました。
青い四角で囲った部分が、銚子の0.5ミリ以上の降水があった時間帯です。7時20分に0.5ミリ以上の降水になり
その後、10分間で1~2ミリのかなり強い降水があると、気温は4℃台から一気に0℃台まで降下しています。
これで、一瞬にして積雪したのでしょう。そもそも湿度が高いので、降水からの昇華による気温低下よりも、強い降水に
よる上空寒気の引き下ろしの効果が強かったと考えられます。7時20分から8時までの40分間で3cmの降雪です。
これは、大雪です(>_<)!銚子でもこんなことに…。
そもそも、このトラフが関東までやってきてから、こんなヒドイ目に合わすのはなぜなのか?その前に、内陸も通って
きてるのに…。それは、寒気が強まりながら南下してきたということが一つ考えられます。それと、相当温位かなあ。
左上:27日21時 右上:28日0時 左下:28日3時 右下:28日6時 850hPa相当温位・風
太線はシベリア気団の目安となる285Kの線です。別に、これより北が寒くて、これより南が暖かいというわけではありません。
相対的に見ると、内陸よりも沿岸部の方が相当温位が高いです。低気圧性の循環の中心にX印を付けましたが、21時から
翌日6時にかけて、強い循環が太平洋側にシフト(移動ではなく)していくように見えます。シアは完全にはなくなりませんが。
太平洋側にシフトしてきた6時以降に、雲が勢いよく発達したと考えると、やはりこの下層の状況も考慮しないとですね。
?ということで、千葉の大雪はビックリしたけど、予想外ではなかった。でも、最悪の事態の幅を甘くみてしまったかな…という
感じでしょうか。
最後に、レーダーエコーの動きをまとめました。上空のトラフの動きに合わせて、低気圧性の循環が太平洋側にシフトして
いく様子が分かります。
**********************************************
新しい動画、2つアップしました!
?気温は、その地域の地形的な特性などで、計算より大きく異なることがあります。難しいくてオモシロイです。
今回は、その東京の場合…ということです。
学科試験でも、実技試験でもついてまわってくる状態曲線です。基本中の基本ですが…
エマグラムの使い方の基本を、SSIを出すことで復習してみます。忘れちゃった人はぜひ!
?↓もうすでにアップしてあります、こちらの動画もよろしくお願いします
*「気象衛星画像ばっかり見る」動画もよろしくどうぞ
この他にも、ユーザー登録していただくと無料で見られるミニ講座をアップしていきたいと思います(^_^)/
てんコロ.のeラーニング気象予報士講座は、学科一般分野(法令をのぞく)・学科専門分野・実技講座があります。
それぞれ、単元ごとに購入可能です。
◆一人で勉強してても分からない所がある方
◆得意な単元と不得意な単元がある方
◆遠くてスクールに通えない方
ぜひ、てんコロ.のeラーニング気象予報士講座をのぞき見してみてください(^_^)。
てんコロ.が一体ぜんたい、どんな先生なのか…?不安だな~という方は、以下の無料コンテンツをご覧ください!
?*ユーザー登録していただくと、以下のコンテンツが無料でご覧になれます*
☆オリエンテーション(気象予報士試験の勉強をはじめようかな~という方へ)
☆実技講座学習ガイド(実技試験の勉強を始める方へ)
☆第38回気象予報士試験 学科試験(一般・専門)解説
※第38回の気象予報士試験「学科・一般 問6」は、解説の図が間違っています。まだ直していませんのご注意ください。なお、訂正内容については、「講師より」ということで、このページに書いてありますので、参考にしてください。宜しくお願いします。
2013年1月29日
カテゴリー:天気の話題