日々の気温を左右するもの

今週は、日本付近はずいぶん冬めいてきましたね!東京の最低気温もついに一ケタとなり、気付くと部屋の中でも

裸足でいるのが辛くなってきました。ところで、季節の変わり目は気温がコロコロと変わって、毎日何着て行くか

迷っちゃいますね。また、朝晩はとっても寒いのに昼間はかなりあったかくて汗ばむとか…もろもろ調整が難しい

時期です。実は、コンピューターも季節の変わり目は調整に苦労しています。

<気温ガイダンス>

専門分野の勉強をした方は分かると思いますが、気温は数値予報でもプロダクトが出力されますが、それは

20kmメッシュの地形で平滑化された気温であり、そのまま実際の気温予想として利用するには、少々難ありです。

そこで、もう一段階フィルターをかけて、それらしい、実際に使える気温予想にします。それが、ガイダンスですね。

気温のガイダンスは、数値予報に含まれる系統的な誤差を修正して…例えば、「GSMの地形の表現がイマイチな

ばっかりに、数値予報結果の気温が実際の気温よりもつねに+2℃高い」といった、系統的な誤差があるとします。

そこで、数値予報結果と実況の間で統計的関係式を作成し、毎回数値予報結果をこの式に入力して、系統的誤差

を修正するのです。そして、式に用いられる系数は、予報の度に逐次更新されます。素晴らしい仕組みです!

しかし、ガイダンスでも大きくハズすことがあります。それが、

梅雨明け、季節の変わり目など、場が大きく変化する時期です。逐次更新のチューニングが

間に合わなくなるのです。すると、一時的に精度が悪くなり思いっきり予想をハズすことがあります。通常は1~2

週間でチューニングはあってくるので、再び精度が良くなってくるのですが…。それを頭に置いといて、予報士は

予報を出さなければなりません(>_<)

<日々の気温を左右する要素>

・850hPaの温度移流 ・風向・風速 ・湿度 ・天気

日々の気温を左右するもので、最も注目するのは850hPaの暖気移流・寒気移流です。850hPaは、摩擦の影響を

受けない、最下層の等圧面(天気図が作成される等圧面)で、ここの気温が地上気温に大きく影響するのは

まちがい無さそうです。ただ、影響の仕方が一筋縄ではいかない面があります。地形のユニークさと風の関係が

一つの原因です。そこで、東京の気温を例にとって考えてみます。

関東南部は、このように南西側と北西側を山地でブロックされていて、例えば北西風や南西風が吹くと、山越えの

気流になってしまうということです。夏は、南西風や北西風が吹くと、気温がぐんぐん上がってしまいます。逆に

東よりの風や南~南東風は、東京にとって海からの風となり、これが吹きこむと気温の上昇が止まります。つまり

風が思い通りに吹けば、それらのことを考えた予想になるということです。しかし、山越え気流や日変化する

海陸風の影響を受けると、関東南部のどこかに収束線ができて、予想通りの風が吹かず、結果的に予想が困難に

なってしまうということもよくあるのです。難しいですよね、全く(-_-;)

よくハズす例として、気圧の谷が日本付近を通過して、冬型の気圧配置に変わる時、後面に控えていた寒気が

吹き込む、その「寒気の入り端」っていうのがあります。

左側が、前日9時の天気図、右側が予想対象となる当日9時の天気図です。気圧の谷が抜けて、冬型へ移行する時の

例です。前述した、850hPaの温度移流を見てみると

<前日21時850hPa実況>

850hPaの高層実況天気図を見ると、前日の21時には日本付近は全体的に寒気移流の場となっています。この後

予想では、0℃線がどんどん南下し、当日の21時には関東南岸まで南下する予想。前日から比較すると、850hPaは

関東南部で4~5℃ぐらい下がることになってました。(前日21時の舘野の実況は、5.8℃になっています。)

ガイダンスは、これを加味して東京の最高気温を前日(曇り、最高気温18℃)よりも低い「16.4℃」を予想しました。では

実際にはどうなったか…結果から言うと、東京の当日の最高気温は19.2℃でした(>_<)大ハズシ!その一因として

風があります。

午前中はずっと、しっかりとした南西風が吹いていました。そして、湿度は22%まで下がりました。とても乾燥した状態。

予想されてた、850hPaの寒気移流はどうなった?ということで、もっと細かい5kmメッシュで上空の流れを見てみると

<当日12時850hPa風・気温>

西よりの風で入ってくる下層寒気は、関東地方を囲む山々を容易に超えることができません。その結果、上の図の

ように、関東南部だけ寒気が入り遅れるカッコウになってしまっているのです。数値は+4℃以上で、これは前日とほぼ

変わらない温度です。この別に冷たくもない空気が、山越えで下ろされてきて気温が上がっちゃったのかも知れません。

雨でも降れば、ちょっと気温が下がってごまけたかも知れませんが…。気温予想の厄介でオモシロイところです(T_T)。

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2012年11月16日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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